<論文など>

①高澤陽二郎(2023)「低学年次のインターンシップ経験によってもたらされる能力観の変化」インターンシップ研究年報 第26巻, 1-10ページ

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<要旨(論文より抜粋)>

本稿の目的は、学生の学びと成長に寄与するインターンシップ経験の効果として、学生の学習行動や経験への向き合い方に影響を及ぼし得る能力観の変化に着目し、ある授業事例を通じた変化の実態を検討することである。3~4週間程度の期間をインターンシップに投じた学部1・2年生を調査対象とし、4年間の科目受講者81名分のデータを用いて、インターンシップ経験の前後で学生が抱く能力観がどう変化したかを分析した。具体的には①コミュニケーション力、②課題解決力、③リーダーシップという3つのキーワードから連想する「力」について、また④社会で必要とされる能力、⑤大学生に不足している能力について自由記述で回答を収集し、KH Coderを用いた計量テキスト分析を行った。その結果、例えば②課題解決力では、漠然とした抽象的な力のイメージが解決プロセスを構成する具体的なアクションを実行できる力の記述に変化する等、インターンシップ経験を経た一定の能力観の変化が認められた。また④⑤の結果の分析でも、知識の捉え方の変化、多様な他者との協働スキルの不足の自覚等、その後の大学生活での学び・経験に向き合う姿勢に影響を及ぼし得る新たな能力観が言語化されたことを確認した。まとめでは限られた調査サンプル等の課題を示しつつ、能力観更新のサイクルを自覚する機会として低学年次のインターンシップ経験が有効に活用できる可能性を提示した。


 

②高澤陽二郎・尾田雅文・小浦方格・上田和孝・中村史(2023)「正課での課題解決型インターンシップにおける企業と大学が協働した課題設定のためのワークシートの開発」新潟大学高等教育研究 第10巻, 10-15ページ

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<要旨(論文より抜粋)>

大学の正課科目で実施されるインターンシップでは、専門分野の社会での活用や更なる学修への動機づけといった効果を重視した課題解決型のインターンシップが多く実施されている。本稿では、企業アンケートの結果もふまえ、そうした課題解決型インターンシップの受入にかかる企業側の認識と課題、「課題解決」の多様なイメージを整理し、企業と科目実施側の大学(教員)との間に存在する問題の所在を明らかにした。そのうえで、問題の解消を図る実践的な手段として、双方が協働して課題を設定・実施・検証するために開発したワークシートについて報告した。成り行き任せではない、再現性をもって一定の質を担保できる課題解決型インターンシップの実現を狙いとするが、シートの実践的な活用及び評価・改善は今後の課題である。


 

③高澤陽二郎・河井亨(2018)「大学生の成長理論を通してみる長期インターンシップ経験学生の成長とその要因」京都大学高等教育研究 第24巻, 23-33ページ 

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<要旨(論文より抜粋)>

インターンシップの教育効果については、特に近年、多くの知見の報告や期待を込めた提言がなされている。本研究では、一定程度長期間のインターンシップ経験を経た学生のその後の大学生活での成長の実相を、参加半年後の追跡インタビュー調査から明らかにするとともに、7つのベクトル理論等の大学生の成長に関係する理論を援用して新たな意味づけを行った。その結果、行動面、意識・態度面の変化という形で、インターンシップ経験を通じた学びが大学での日常の学びに架橋(ラーニング・ブリッジング)され、成長マインドセットの形成につながりうることが明らかとなった。またそうした教育効果が発揮されるための実践原則として、事例の検討から、①日常の行動レベルの具体性に着目した目標設定・リフレクション・フィードバック、②ストレッチ経験をサポートする仕組み、③大学生活の日常への架橋を意識したプログラム全体の設計、の3点を指摘した。


 

 (その他)

④高澤陽二郎・藤村忍(2020)「複数の当事者の視点から地域課題理解をはかる実習科目の開発と実践」新潟大学高等教育研究 第7巻, 45-50ページ

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⑤高澤陽二郎(2016)「産学地域連携型の教育実践における成果と課題」新潟大学高等教育研究 第4巻, 37-42ページ

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⑥高澤陽二郎(2015)「教育的効果の高い中長期インターンシップの実践 : 「企業課題探究型 長期・有償型インターンシップ」の取組」新潟大学高等教育研究 第3巻, 33-38ページ

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